L同盟L同盟

MinD ESCAPE

  • ダウンロード商品
    ¥ 500

不思議な夢を見た政宗。  目覚めれば、子どもの姿になっていた!!  --------------------------- 「さて、どうするか」  耳慣れない自分の声を聞きながら腕を組み、見慣れた――けれど少し違う庭を眺める政宗の少し後ろに、小十郎が控える。庭に降り、ゆっくりと歩き始める政宗は、自分の体の届く範囲を確かめるよう手を伸ばし、歩幅を変えて子どもの体に少しでも早く慣れようと距離感を探った。 「政宗様」 「筆頭、真○の兄さんが来ましたぜ!」  小十郎の声と、左馬之助の声が重なる。振り向き、上向いた政宗と小十郎が目を合わせた。 「Shit――――忘れてたぜ」 「よりによって、こんな時に」  二人の顔が引きつる。真○の兄さんこと真○幸村は、政宗が好敵手と認めた甲斐の武将であった。他国の好敵手が何故、ここ奥州に来たのかは信玄の意向と幸村、政宗の意思があった。一国を統べる政宗と、仕える側の幸村とでは背負っているものの重みが違う。視点が違う。切っ先にかかるものの比重が、覚悟が、違っている。――――勉強をしてくるか。という信玄の一言が、日を見て奥州へ幸村を招き入れるきっかけとなった。あわよくばという雰囲気を持った言葉は、先の戦の折に恩義を受けたこともあり、承諾という形に成った。政宗の、幸村と仕合いたいという意思も動いた。日取りを決め、一旦は離れた彼らが奥州で再会すると決めた日は、今日――――よりによって、こんな時に、であった。 「政宗殿ぉ! 宜しくお頼み申しまするぅうう」  左馬之助の数倍はあろうかという声が屋敷に響く。五月蝿い野郎だぜ、と少し嬉しそうにつぶやく政宗に、たしなめるような視線が向けられる。 「わかってる、小十郎。この姿じゃあ会うに会えねぇって言いたいんだろう――――まったく、厄介なことになったもんだぜ」 「その割には、困られていらっしゃるようには見えませんが」 「Ah――いっそ、巻き込んじまえばいいんじゃねぇかと思ってな」 「は――?」 「手伝わせるんだよ、解決すんのに。どうせ、あの忍もついて来てんだろ。真田幸村が来ているんなら、俺が表に姿を現さなくっても怪しまれる事は無ぇ。それに――手数は多いほうがいい。That's right, isn't it?」 60P・新書サイズ・23年02月発行

不思議な夢を見た政宗。  目覚めれば、子どもの姿になっていた!!  --------------------------- 「さて、どうするか」  耳慣れない自分の声を聞きながら腕を組み、見慣れた――けれど少し違う庭を眺める政宗の少し後ろに、小十郎が控える。庭に降り、ゆっくりと歩き始める政宗は、自分の体の届く範囲を確かめるよう手を伸ばし、歩幅を変えて子どもの体に少しでも早く慣れようと距離感を探った。 「政宗様」 「筆頭、真○の兄さんが来ましたぜ!」  小十郎の声と、左馬之助の声が重なる。振り向き、上向いた政宗と小十郎が目を合わせた。 「Shit――――忘れてたぜ」 「よりによって、こんな時に」  二人の顔が引きつる。真○の兄さんこと真○幸村は、政宗が好敵手と認めた甲斐の武将であった。他国の好敵手が何故、ここ奥州に来たのかは信玄の意向と幸村、政宗の意思があった。一国を統べる政宗と、仕える側の幸村とでは背負っているものの重みが違う。視点が違う。切っ先にかかるものの比重が、覚悟が、違っている。――――勉強をしてくるか。という信玄の一言が、日を見て奥州へ幸村を招き入れるきっかけとなった。あわよくばという雰囲気を持った言葉は、先の戦の折に恩義を受けたこともあり、承諾という形に成った。政宗の、幸村と仕合いたいという意思も動いた。日取りを決め、一旦は離れた彼らが奥州で再会すると決めた日は、今日――――よりによって、こんな時に、であった。 「政宗殿ぉ! 宜しくお頼み申しまするぅうう」  左馬之助の数倍はあろうかという声が屋敷に響く。五月蝿い野郎だぜ、と少し嬉しそうにつぶやく政宗に、たしなめるような視線が向けられる。 「わかってる、小十郎。この姿じゃあ会うに会えねぇって言いたいんだろう――――まったく、厄介なことになったもんだぜ」 「その割には、困られていらっしゃるようには見えませんが」 「Ah――いっそ、巻き込んじまえばいいんじゃねぇかと思ってな」 「は――?」 「手伝わせるんだよ、解決すんのに。どうせ、あの忍もついて来てんだろ。真田幸村が来ているんなら、俺が表に姿を現さなくっても怪しまれる事は無ぇ。それに――手数は多いほうがいい。That's right, isn't it?」 60P・新書サイズ・23年02月発行